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メディア掲載情報

メディア掲載 戦略経営者8月号

メディア掲載8月号

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2023年8月号に当事務所のお客様である、ニューワンズ株式会社様がご紹介されました。

業績データの閲覧権限を拡大し施設長の「経営者意識」を醸成

滋賀県大津市に拠点を置くニューワンズは「認知症を〝希望〟に変える」をビジョンに、多彩な介護サービスを展開している。新庄一範社長と角谷会計事務所の角谷雅子顧問税理士、監査担当の神佐真由美税理士に、同社の経営戦略と『FX4クラウド』を用いた業績管理手法を聞いた。

認知症対策の知見を発信する新施設を4月にオープン

──事業内容を教えてください。

新庄 当社は「認知症を〝希望〟に変える」をビジョンに掲げて、高齢者向けの介護サービスを展開しています。滋賀県を中心にデイサービスセンターを8カ所、居宅介護支援事業所を3カ所、訪問看護ステーションと介護リフォームの事業所をそれぞれ1カ所ずつ構えており、今年の4月には比叡山延暦寺のほど近くに「3ReSホーム比叡山坂本」をオープンしました。グループホームや小規模多機能型居宅介護施設としての機能のほか、当社が創業以来培ってきた「3ReS」(スリーレス)のノウハウを集約し、発信する拠点に位置づけています。

──3ReSとは?

新庄 認知症の予防や改善に特化したメソッドを体系化したプログラムで、「再生(Regeneration)」「再活性(Reactivation)」「休息(Rest)」「環境(Surroundings)」の頭文字を取って名付けました。具体的には簡単な計算や漢字の読み書きを行う学習療法、老化の進行を抑えるバランスの取れた食事、適度な睡眠・瞑想などのプログラムを提供しています。

新庄一範社長

新庄一範社長

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

──もう少し詳しく教えてください。

新庄 学習療法では脳科学が専門の東北大学の川島隆太教授と公文教育研究会が開発した学習テキストに沿って、「読み書き」「計算」などの問題を解き、その後、施設の職員や他の入居者とコミュニケーションを交わします。これにより脳が活性化し、認知症予防・改善に大きな効果が期待できます。
 食事の面では認知症予防に効果のある100以上のメニューを自前で提供し、配膳や後片付けの一部を入居者が担うなど、入居者自身に役割を与えることで認知症の予防や状態の改善を目指します。

──入居者の反応はいかがですか。

新庄 3ReSの効果が早速表れています。ある入居者は若年性認知症を患っており、長年連れ添った奥さまのことさえ認識できない状態で入居されました。すぐに3ReSのプログラムを受けながらグループホームでの生活を始めると、みるみるうちに状態が改善し、入居してから1カ月ほどたった頃には「ウチの嫁です」と奥さまを他の入居者に紹介できるまでに回復されました。見違えるほど元気になられた姿を見て思わず目頭が熱くなりましたね。

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

4月にオープンした「3ReS ホーム比叡山坂本」

──うれしい成果ですね。

新庄 この施設をオープンするまで紆余曲折があったので、喜びもひとしおでしたね。特に建設費用の一部を事業再構築補助金で賄う予定だったのですが、なかなか採択されず気持ちも落ち込んでいました。そんななかでも、神佐先生には事業計画書の内容をチェックしてもらったり、励ましの言葉をかけてくださったりと強力にサポートしていただきました。本当にありがたかったです。

神佐 2度目の不採択通知を受け取ったときは「もう無理かもしれへん」と普段の様子からは想像できない、新庄社長の弱気な一面を垣間見ました。ただ、グループホームの開設と3ReSの普及に意欲的な姿を間近で見てきたので、なんとしてでも開設にこぎつけたいと思っていました。3回目の申請で無事採択され、申請が通ったことを聞かされたときは自分のことのようにうれしく思いましたね。

各施設の年度目標予算を施設長自身が策定する

──角谷会計事務所と顧問契約を結ばれた経緯を教えてください。

新庄 会社を立ち上げたときに抱いていたのが「税金計算だけでなく経営相談に応じてくれる税理士に顧問をお願いしたい」という思い。このことをある大学の先輩に伝えたところ「ピッタリの税理士がいる」と紹介されたのが角谷先生でした。

角谷 税理士として独立して数年が経ったころでしょうか。大津市の創業支援窓口に提出する収支計画を『継続MASシステム』で作成したのが新庄社長との最初の仕事でした。その後も月次巡回監査や経営計画策定支援など、さまざまなサービスを通してニューワンズさんの経営をサポートしています。

角谷雅子税理士

角谷雅子税理士

──『FX4クラウド』を導入したのはなぜですか。

新庄 創業当初から事業所を複数展開することを念頭に置いていたので、事業所ごとに入力業務や損益管理ができるソフトを入れたかったのが一つ。あとは、スピーディーな経営判断を後押しする機能が揃そろっているところにも魅力に感じました。

角谷 最初は『FX2』を利用されていましたが、3カ所目のデイサービスセンターが開設した2011年に『FX4クラウド』へアップグレードされました。現在は施設ごとに業績管理を行っており、意思決定の早期化を実現しておられます。

──意思決定を行うにあたり、参考にしている帳表はありますか。

新庄 日頃チェックしているのは「全社業績の問合せ」と「部門別利益管理表」です。運営がうまくいっている施設、そうでない施設が一目で分かり、好不調の要因も明確に把握できるので、より実態に即した打ち手を迅速に打てます。このほか、施設別業績の推移、新規入居者数、稼働率、スタッフの労働時間など、ありとあらゆる数値データを集約したオリジナルの業績資料を「マネジメントレポート(MR)設計ツール」を使って作成しています。この資料は毎月の施設長会議でも配布しており、利用者が極端に減っていないか、最適な人員配置で利益を上げているか、スタッフに無理をさせていないかなど、現場レベルの現状把握や戦略を策定する際の参考にしています。

──『FX4クラウド』の業績データを施設長のパソコンから閲覧できるように設定していると聞きました。

新庄 施設ごとの実態を最も理解しているのは施設長であり、施設長自身が「経営者意識」を持って収益拡大やコスト削減に積極的に取り組んでもらうために、業績データの閲覧権限を付与しています。これは導入当初からの取り組みで各施設長も計数管理に慣れてきたのか、「予想していたよりも固定費がかさんできているので削減を検討する」「収益を伸ばすために学習療法などのサービスの品質向上に努める」などと、最新業績から具体的なアクションを導くようになりました。私自身、施設長の経営者意識の醸成に手ごたえを感じており、最近は自部門の年度予算を施設長に策定させています。

神佐真由美税理士

神佐真由美税理士

──入力面での使い勝手はいかがでしょう。

新庄 入力業務を省力化する機能が充実しているのでとても重宝しています。最近は請求書やレシートのデータ保存と仕訳連携を行うために「証憑保存機能」の利用を始めました。これを弾みにペーパーレス化もどんどん進めていきたいですね。

神佐 このほかにも銀行信販データ受信機能や支払管理機能、仕訳読み込みテンプレート機能を用いた介護請求ソフトとのデータ連携など、経理業務を省力化する機能をフル活用されています。実際に経理を担当されている相原朱深さんも「経理業務が楽になった」と評判も上々です。

経営ビジョンを旗印に3ReSの品質向上へ

──ところで、新庄社長はもともと経営コンサルタントをされていたと聞きました。独立して介護業界に参入したいきさつを教えてください。

新庄 父が認知症を患い、介護サービスを受けるようになったことが独立のきっかけです。実際に介護する側の立場に立ったことで、認知症高齢者を取り巻く課題に気づきました。「世界最高水準の認知症ケアサービスを提供することで、介護業界の課題を解決したい」と思い至ったことが創業の原体験です。

──今後の目標を。

新庄 かつて、がんは不治の病とされていましたが、現在は早期に発見・治療すれば寛解に向かいます。認知症も同じで予防や改善に早期に取り組むことで、状態が良くなります。冒頭でもお話しした「認知症を〝希望〟に変える」というビジョンのもと、1人でも多くの認知症患者に希望を持って日々を過ごしてもらえるよう、3ReSの拡充と品質向上を目指していきます。

経営ビジョンを旗印に3ReSの品質向上へ