メディア掲載情報

メディア掲載 戦略経営者1月号

メディア掲載1月号

株式会社TKC発行の企業向け情報誌「戦略経営者」2025年1月号に当事務所のお客様である、有限会社マルエス紙工様がご紹介されました。

万全の危機管理を実践し紙製品の新たな可能性に挑戦

 古紙100%のリサイクル素材でできた「紙管原紙」を原料に梱包(こんぽう)資材などを製造するマルエス紙工。水川清美取締役本部長(以下、清美氏)の祖父が経営する会社から分離・独立する形で、清美氏の実父である坂井満氏が1980年に創業したメーカーである。当初は「紙工」の名の通り、ラップやトイレットペーパーの芯に使用される〝紙管〟が唯一の商材。清美氏が言う。
 「祖父の会社に頼ることなく裸一貫でのスタートでしたが、顧客の要望を丁寧に聞きながら、社長兼技術者である父自らが製品を開発していくことで、次第に新しい顧客が増えていきました」
 この丁寧さ・実直さが今に続くマルエス紙工の社風だと水川信治社長(以下、信治氏)は強調する。
 「新たな製品の依頼があれば、すぐにサンプルを試作してお届けする。どんなに些細なものでも顧客のニーズを形にするのが、先代から続く〝スタイル〟です」

 創業から2年後の82年、商材拡大の第一歩としてペーパーアングルの製造を開始。ペーパーアングルとは、製品の保護や荷物の角当てとして使用される緩衝材のこと。さらにその10年後の92年には、「合紙」の一貫製造をスタートする。合紙とはハードボードやベニヤ板などの代替となるもので、長さ、幅、厚みの自由度が高く、抜き打ちや印刷加工ができるのも特長だ。ペーパーアングル・合紙ともに建築関係や鉄鋼関係の企業からのニーズが高く、競合も少ないだけに同社の製品は日本を代表する錚々(そうそう)たる企業にも重宝されているという。
 「段ボールと違い、原紙を直接積層して製造するので、硬くて丈夫です。当社では、この特性を生かし、リサイクル可能で木製のように燻蒸(くんじょう)処理も必要ない環境に優しい〝紙パレット〟を開発し、現在、輸出用パレットとして売り出し中です」
 さて、水川社長は2010年に入社し、社長に就任したのは2020年。コロナ禍では一時的に売上高が落ち込むこともあったが、信治氏の「取引先をきめ細かく回り、ニーズをいち早く捉える」営業姿勢が功を奏して取引先は増え続けた。

左から角谷雅子税理士、水川信治社長、水川清美取締役、神佐真由美税理士

左から角谷雅子税理士、水川信治社長、水川清美取締役、神佐真由美税理士

 「副社長時代から、顧客の多い近畿地方を中心に、特段の用事がなくても月1回くらいの頻度で半ばあきれられても(笑)訪問を続けました。訪問を続けるうちに〝そういえば……〟と仕事のお話をいただけるようになり、次第に仕事の幅が広がってきたのです」

顧問税理士の支援のもとトータル保障を実現

 業容拡大が順調な一方、財務管理面では難問を抱えていた。信治氏が述懐する。
 「日々の経理処理に追われ、月次決算もできていませんでした。数字が見えなかったので、儲かっているかどうかも分からない状態でした」
 そこで信治氏は、以前に受講して感銘を受けたセミナーで講師を務めていた神佐真由美税理士に思い切って連絡をとった。2021年の年明けのことだ。
 「会社のある福山と事務所がある京都では距離もあり、最初は顧問税理士になることはお断りしました。しかし、水川社長の〝会社を良くしたい〟という熱意と所長の角谷(雅子税理士)が福山出身という運命的なご縁もあり、お引き受けすることにしました」(神佐税理士)

本社工場外観

本社工場外観

工場内の作業風景

工場内の作業風景

 そこからの対応は早かった。21年夏までには、『FX4クラウド』を導入、同社の基幹ソフトと連携させ、毎月10日には前月の数字を確定させる月次決算体制を構築。清美氏は言う。
 「経理業務の効率化に留まらず、会社の現状を数字でリアルタイムに確認でき、計画を緻密に立てられるようになったことで、経営とは何かが分かってきたような気がします」
 さらに同年、角谷事務所では、TKC企業防衛制度(※1)への加入も勧めた。企業防衛の推進は事務所としての本来業務であるとの方針もあるが、信治氏の重責と健康状態等から、危機管理体制の構築が急務であったこともその理由だった。

 「当時、今より10キロくらい体重が多く、定期健康診断などでは生活習慣病との指摘も受けていました。それもあり、社長の私に万が一のことがあった際の会社への影響を考えるようになりました」という信治氏。角谷税理士、神佐税理士からの親身な提案を受け、「死亡・高度障害」「がん・急性心筋梗塞・脳卒中による就業不能」「病気や事故に起因した身体障害による就業不能」を保障するそれぞれの保険にトータルで加入した。

工場内の作業風景

工場内の作業風景

ペーパーアングル

ペーパーアングル

 清美氏はいう。
 「もちろん、TKC企業防衛制度に加入前にも保険には入っていましたが、保障内容や保障額は正直理解していませんでした。TKC企業防衛制度は、角谷、神佐両先生が借入金等の毎年の財務状況を勘案して標準保障額(※2)を算定した上で、制度設計していただいているので合理的で無駄がなく、安心できます」
 角谷税理士が付け加える。
 「われわれは顧問税理士として自計化や月次決算、経営計画の立案などの支援を行いますが、その目的は企業の継続と永続的な発展です。そのためには〝企業防衛〟を真っ先に考えなければなりません。また、会社の状況は常に変化するので、標準保障額算定を通じた保険の〝最適化〟も毎年行っていく必要があります」

 実際、信治氏の健康状態は加入時に比べて改善され、保険料の負担も軽くなり、浮いた保険料を原資に保障内容を充実させることができている。また、信治氏はTKC企業防衛制度への加入を契機に自らの健康を意識するようになり、健康維持・増進のモチベーションにもつながったという。さらに、同社では健康優良法人として「KENCO SUPPORTPROGRAM(※3)」の活用を進め、健康経営の取り組みを全社に展開している。
 24年1月、創業社長である先代が亡くなった。先代の遺志を引き継ぎ、先代が築いたマルエス紙工をさらに発展させるべく同社は次のフェーズへと進みはじめる。これまでの紙管原紙を加工した保護材等に加え、25年からは業務用の害虫駆除製品や前述の紙パレットの製造にも本格的に進出する予定。トータル保障による危機管理を万全に、紙製品の新たな可能性に挑戦するマルエス紙工のさらなる飛躍が期待される。

合紙

合紙

※1 TKC企業防衛制度…大同生命保険とTKCが共同開発した保険商品。企業の内実を知り尽くした顧問税理士(TKC全国会会員)が、財務状況などの経営環境を考慮しながら最適な保険を提案するところに特徴がある。

※2 標準保障額…経営者や幹部社員など企業の根幹である貴重な人材に不測の事態が発生した場合に、その企業が被ると想定される「経済的損失額」を算出したもの。
※3「KENCO SUPPORTPROGRAM」…『健康経営®』の実践に向けて必要な機能を取り揃えた大同生命の顧客専用のプログラム